【大阪梅田店】『デジタル時代のホームシアター近代史:第9章 2D画質の成熟と3D時代の幕開け』
中古買取品として入荷してくる過去の名機を感慨深く眺めている渡部です。
2008年を書いた第8章を終え、この『デジタル時代のホームシアター近代史』も終盤にはいってきました。
第9章からは、やや駆け足で2009年以降を書いていきたいと思います。
前章でも書いたとおり、2009年は、PanasonicとSANYOが国内ホームシアタープロジェクター市場から撤退し、Pioneerがプラズマディスプレイの生産を終了するという、競争に勝ったものしか残れない厳しい時代の始まりだったように思います。
その為、各メーカーが生き残りを賭けて、ワン・アンド・オンリーの技術を商品に搭載してきました。
Pioneerは、BDP-LX91とSC-LX90では映像無しで2ch音声のみ対応だったPQLSを、映像付マルチチャンネル音声に対応させた「PQLSマルチサラウンド」を、BDP-LX52とVSA-LX52の組み合わせで実現します。
Pioneerは、「Advanced MCACC」「フェイズコントロール」という独自の先進技術を持っているという強みもあります。
やや後に登場したSC-LX82では、SC-LX90で好評だった「ダイレクトエナジーHDアンプ」というクラスDアンプが搭載され、AVアンプ市場におけるPioneerの快進撃が始まります。
DENONも、Blu-rayプレーヤーとAVアンプ間のクロックを共有することにより、次世代音声フォーマットのジッターレス伝送を可能にする「DENON Link 4th」を、上級機に次いでDBP-4010UDとAVC-4310に搭載します。
この頃から、垂直方向の空間表現を可能にする「フロントハイ」スピーカーを使った「DOLBY PROLOGICⅡz」や、さらに「フロントワイド」スピーカーまで拡張可能な「AUDYSSEY DSX」という新たなフォーマットのデコーダーがAVアンプに搭載され始めます。
marantzからは、国産では他に類を見ない超弩級SACD/Blu-rayプレーヤーUD9004が発売されます。
肩書きに、Blu-rayプレーヤーよりも前にSACDが来るところに、このモデルはオーディオプレーヤーだというmarantzの主張を感じます。
DENONのDVD-A1UDが、DENON Link 4thを使ったHDMIデジタル音声出力を重視しているのに対し、UD9004は、同社SACDプレーヤー等でおなじみの高速電圧増幅モジュールHDAM、HDAM-SA2をハイブリッド使用したアナログ音声出力を重視しているという特徴があります。
marantzには、音声出力端子としてのHDMIは、まだまだピュアオーディオのクオリティーではないという考えがあるのかもしれません。
Blu-rayレコーダーでは、PanasonicのDMR-BW970がレコーダーの可能性に挑戦し、Blu-rayプレーヤーの存在を脅かします。
もはや高画質の代名詞になったシステムLSI「UniPhier(ユニフィエ)」による、新リアルクロマプロセッサplusと階調ロスレスは、最新のDMR-BZT9600にも進化しながら引き継がれる高画質技術です。
また、音質劣化やノイズの原因になるHDDやチューナーを完全に停止し、放熱ファンの回転数も下げる「シアターモード」の搭載により、レコーダーの弱点である音質を向上させる新たな試みも始まります。
SONYのBDZ-EX200も、画質回路「CREAS 2 plus」を搭載し、レコーダーの高画質化をさらに進めます。
レコーダーで初めてHDMIの映像と音声を分けて出力する「HDMI AV独立ピュアシステム」を搭載し、剛性の高いシャーシと相まって、レコーダーとは思えない高音質を実現しました。
もはや、高画質・高音質を求めるならプレーヤーを使うという常識は通用しなくなってきました。
冒頭に話したように、この年から国産ホームシアタープロジェクターメーカーはVictor、SONY、MITSUBISHI、EPSONの4社に絞られました。
MITSUBISHIは、透過型液晶フルHDプロジェクターLVP-HC6800で、いよいよD7パネルを搭載してきます。
D6パネルよりも開口率を20%UPし、12ビット駆動可能なD7パネルが、ようやくMITSUBISHIプロジェクターに搭載されました。
しかし、この年のMITSUBISHIの大ヒットモデルは、フルHD DLPプロジェクターLVP-HC3800です。
もはや過去のデバイスだと思われていたDLPを使い、コンパクトで低価格なプロジェクターというコンセプトで作られた本機は、この年の出荷台数NO.1でした。
3管式を彷彿とさせる滑らかで緻密な映像と、MITSUBISHI製DLPプロジェクター初の1080/24p対応など、MITSUBISHIが作るだけあって、この価格でも映像や仕様は本格派です。
EPSONのEH-TW4500は、超解像技術を搭載し、前モデルで不満の残ったフレーム補完の精度を大幅に向上させました。
コントラスト比は、オートアイリス使用ながらEH-TW4000の2倍以上の200,000:1という凄まじいものです。
SONYもVPL-VW80の進化版VPL-VW85で、コントラスト比120,000:1を実現します。
これは、ネイティブコントラストの向上をベースに、進化したアドバンストアイリス3と、コントラストエンハンサーの組み合わせで実現しています。
各メーカーに猛追されるVictorも、DLA-HD950/HD550で120Hz倍速駆動に対応しました。
DLA-HD750で好評だったS字ガンマをベースにした画作りを、さらに徹底して追い込んで作られた映像は、余計な色は乗せないが出るべき色はきちっと出す究極の映画画質と言えます。
とはいえ、前モデルと変わらないコントラスト50000:1や、満を持して搭載した「クリアモーションドライブ(フレーム補完)」がいまひとつの完成度だったことなど、やや足踏みという感がありました。
2009年のプロジェクターは、フルHDではこれ以上進化する伸びしろはほとんど無いという印象を持つくらい、熟成されつくした感がありました。
翌2010年は、いよいよ3Dの時代が到来してきます。
3D対応モデルが続々登場しますが、まずはAVアンプからONKYOのTX-SA608が登場します。
ONKYOの新フォーマットへの対応の早さはいつも関心しますが、HDMI ver1.4に対応し、3Dパススルーに加えARC(オーディオリターンチャンネル)機能も追加されました。
このモデルでは、上級機種で採用されている「3段インバーテッドダーリントン回路」の搭載も話題で、機能性と音質はこのクラスで頭一つ抜けていました。
Panasonicから、3D対応プラスマテレビTH-P54VT2/TH-P50VT2と、Blu-ray3D再生対応Blu-rayレコーダーDMR-BWT3000/2000/1000が発売され、いよいよ3D視聴が可能になりました。
予備放電レス発光によりネイティブコントラストは驚異の500万:1を実現し、2D画質も磨きをかけてきました。
3D画質は、サブフィールド表示の弊害で若干階調不足が見られますが、面書き込みの恩恵でクロストークの少ない3D映像を見せてくれ、初号機としては良い出来だと感じました。
個人的には後継機のVT3よりも、画質では優れていると思います。
PanasonicもようやくHDMI出力が2系統になり、プレミアム化はさらに進みます。
また、Panasonic久しぶりの高級Blu-rayプレーヤーDMP-BDT900も注目を集めました。
レコーダーで培った技術を投入されて開発されたDMP-BDT900は、DMR-BZT3000同様「新ユニフィエ」を搭載し、3D再生はもちろん「新リアルクロマプロセッサplus」「階調ロスレスシステム」「ディテール・クラリティ・プロセッサ for BD」等共通の機能を持ちます。
さらに、レコーダーに先駆け、音質に影響のあるアナログ映像信号をoffにする「ハイクラリティサウンド」を搭載する本格派です。
レコーダー然とした外見が唯一残念な点ですが、Panasonicの底力を見せてくれました。
また、この頃からOPPO製Blu-rayプレーヤーをベースにした、Cambridge AudioのAzur650BDや、 NuForceのBDP-83SE NuForce Editionが国内販売を開始し、市場を席巻していきます。
NuForce BDP-83SE NuForce Edition
その豊富な機能性と操作レスポンスの良さは、国産Blu-rayプレーヤーには脅威で、コストパフォーマンスも抜群でした。
ハイエンドAVアンプには、この後大きな流れになる32bitDAC搭載機が登場します。
ほとんどのAVアンプは、DSPで32bitの演算処理を行いますが、今まではD/Aコンバーターの前でデジタル信号を24bitに変換しなければならず、情報の劣化が生じていました。
32bitDAC搭載により、32bitのままD/A変換される音質的なメリットは計り知れません。
ONKYOは、一体型AVアンプTX-NA5008に続き、セパレート型のPR-SC5808が32bitDACを搭載し、9chパワーアンプPA-MC5500と共に発売されます。
もともと定評のあるONKYOのパワーアンプに、バーブラウン製32bitDAC搭載のAVプリアンプの組み合わせは、クリアーかつダイナミックな音で、チャンネルセパレーションの良さは一体型とは一線を画し、極めてオーディオ的にサラウンドを再生します。
好評のPioneer製AVアンプにも、32bitDACを搭載したSC-LX83が登場します。
こちらはHi-bit32/Hi-sampling Audio Processingを搭載し、さらに積極的に32bitDACのポテンシャルを引き出す試みをしています。
いままでのモデルは、若干派手さが目立っていましたが、圧倒的な情報量と繊細さが加わり、よりバランスの良い音になりました。
おなじみのPQLSも「PQLSビットストリーム」に進化し、今までのようにプレーヤー側でPCM変換をすることなく、いくばくかの音声劣化からも開放されました。
そして、プロジェクターも3Dモデルが登場します。
先陣を切って発売されたのは、SONYのVPL-VW90ESです。
ESが型番に付けられたことでも、SONYの力の入れようが窺えます。
期待の3D映像は、テレビでは箱庭的な印象でしたが、プロジェクターで見ると視野一杯に画面が広がり、没入感は段違いです。
ただ、最近の明るいプロジェクターに慣れた目には、画面は暗く感じてしまいます。
これは、VPL-VW90ESが画面をライン書き込みで行う為、クロストークを防ぐ為に3Dメガネの全閇時間が長いことに原因があります。
それでも、3D対応するために、明るさと、画面の応答速度が上がり、画素間ピッチも従来の0.25ミクロンから0.2ミクロンになったことで、確実に2D画質が向上しました。
JVC(Victor)からは、DLA-X9/X7/X3と3ラインナップの3D対応機が発売されます。
3D画質は、デジタル駆動による面書き換えにより、3Dメガネの全閇時間が短い為、SONYに比べて明るさと少ないクロストークにアドバンテージがあります。
2D画質でも、DLA-X9ではネイティブコントラスト100,000:1に達し、トップの座を譲りません。
キセノンランプをシュミレートした色温度のモードや、「コダック」「フジフィルム」を解析したガンマモードを用意するなど、映画を忠実に再現する画作りはさらに緻密に進化しました。
また、以前のパネルにあった、特定の色が残像として残る現象も、この世代のパネルから解消されます。
筐体も含めて、現行のDLA-X700Rにだいぶ近づいてきました。
見る前は懐疑的だったBlu-ray3Dも、プロジェクターで見ると意外と楽しめるという感想が多く、予想よりも反応が良かったという印象で、プロジェクターの3D対応による2D画質の更なる向上という嬉しい副産物も生まれました。
いよいよ次回は2011年から現在を描く【最終章】になります。
今年中に完成する予定ですのでご期待下さい。
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