【大阪梅田店】『デジタル時代のホームシアター近代史:第4章 デジタル機器の発展と3管式プロジェクターの終焉』
最近、人の名前が全然出てこなくなった渡部です。
【第3章】では、DVIやHDMIでの映像のデジタル伝送が始まった2003年を書きましたが、【第4章】では、地デジ放送開始後、デジタルやハイビジョンへの流れが加速する2004年を書きたいと思います。
前半にプロジェクターが幾つか発売されましたので、プロジェクターの話から入りたいと思います。
年が明け、出荷が若干遅れたmarantzの3板式DLPプロジェクターVP-10S1がようやく発売されます。
通常の単板式DLPプロジェクターでは避けることの出来ないカラーブレーキングノイズが、原理上発生しないというメリットは大きいですが、本体も負けず劣らず大きいです。
加えて、ファンノイズや発熱も大きく、導入には結構な覚悟が必要でした。
また、RGB3枚のDLPパネルを合成する為、色ずれ(画素ずれ)という別の問題も出てきます。
定価350万円(税別)と高額だったこともあり、ハードルの高い商品という感は拭えず、家庭用3板式DLPがこのモデルで終わってしまったのは残念です。
ただ、このような商品を完成させ、発売したmarantzには拍手を送りたいと思います
2003年末発売モデルにやや遅れる形でYAHAMAから2機種が発売されます。
EPSONのEMP-TW500と同様に、液晶プロジェクター最高級モデルのLPX-510が登場します。
EMP-TW500と同様、電動アイリス(光学絞り)を搭載し、コントラスト比1200:1を誇ります。
EMP-TW500の陰に若干隠れてしまった感はありますが、バランスが良くクリアーな映像は、液晶プロジェクターとして当時最高峰の映像でした。
DLPでも、HD2+パネル搭載のDPX-1100が登場します。
抜けの良い白と深い黒のコントラスト、破綻の無い色バランス、まさにリファレンスと呼べるようなモデルでした。
両機共にHDMI入力を搭載していました。
D-ILA初のフルHDパネルを搭載した、VictorのDLA-HD2Kもこの頃発売されます。
「プロジェクションヘッド部」と、ファロージャと共同開発した「デジタルビデオプロセッサー部」に分かれたセパレート構造で、その間をDVIでデジタル伝送する構造でした。
今のD-ILAに比べるとコントラストは控えめですが、格子が細くドット感が少ないきめ細やかな映像は、透過型液晶とのクラス差を見せつけます。
VictorのD-ILAプロジェクターが大ヒットを生み出すのはもう少し後ですが、フルHDのD-ILAプロジェクターの歴史がここから始まります。
HITACHIもWOOOプロジェクター第2弾のPJ-TX100Jで、720p液晶プロジェクタークラスに参入して来ました。
「D4」パネル搭載機としては若干遅れての登場ですが、その分ライバル機を研究しながら完成度を上げてきたアドバンテージがあります。
一番の特徴は、見ての通り大口径レンズです。
F1.7という、このクラスとしては贅沢なレンズを生かしたフォーカス特性に優れ抜けの良い映像と、電動アイリス搭載によるコントラスト1200:1というライバルを凌駕するスペックが話題となり、同時期発売の競合モデルが居なかった事もあって、かなりのヒットを記録しました。
プレーヤーやレコーダーも、発売月順に振り返りたいと思います。
2月に、初めて地デジ(110°CSも)チューナーを搭載したHDD+DVDレコーダーSHARPのDV-HRD2が発売されます。
SHARPは、早くからハイビジョン録画に取り組んできました。
タイムシフト視聴の便利さや、D-VHSへの編集・ダビング機能などで、ブルーレイ普及前のハイビジョンエアチェック機器として大活躍します。
7月に、HDMI出力搭載のDVDプレーヤーが2機種発売されます。
DENONのDVD-3910はDVI出力も搭載し、選択が可能でした。
さらに、DENON LINKとi-Link(IEEE1394)も装備し、デジタル系フル対応です。
marantzのDV-9500は、HDMI出力のみの搭載ですが、216MHz/14bit映像DACや、シーラスロジックの音声DAC「CS4398」を搭載するなど、アナログ出力に注力したモデルとして支持されました。
同じ頃、ブルーレイも、国産2号機となるPanasonicのDMR-E700BDが発売されます。
地デジチューナー搭載と、25GB・50GB(2層式)に対応し、機能的には充実してきました。
ただ、HDMI出力非搭載は残念なところ。
ハイビジョン録画機としては、VictorのD-VHSデッキHM-DHX2が一足先にHDMI出力を搭載してきます。
この映像を見ると、HDMIの恩恵はハイビジョンでこそより大きく感じます。
このモデルがD-VHSの最終モデルになってしまいましたが、願わくばもっと筐体や作りのしっかりしたハイエンドモデルに、有終の美を飾って欲しかったと思います。
HDD+DVDレコーダーとしては、PioneerのDVR-920Hが初めてHDMI端子を搭載します。
デジタルチューナー非搭載ながら、外部デジタルチューナーやデジタルチューナー搭載テレビとi-Link経由でハイビジョン録画が出来る機能を搭載しました。
やや過渡的な仕様ですが、ようやくパイオニアもハイビジョン録画に乗り出しました。
そして、ブルーレイレコーダーとしては当時欲しい機能をすべて網羅したSHARPのBD-HD100が発売されます。
160GBながらHDDを搭載し、ブルーレイドライブとDVD-R/RWドライブのダブルトレイ仕様で、さらにブルーレイレコーダーとしては初めてHDMI端子(スケーラー付)を装備しました。
i-Link端子も装備し、D-VHSへの編集・ダビングも出来るなど、ほぼすべての録画スタイルが可能になる夢のマシーンでした。
フロントパネルの開閉機構も、昔のS-VHSデッキの様な質感で好印象でした。
12月には、DENONのDVDプレーヤー史上最強のモデルDVD-A1XVが満を持して登場します。
I/P変換にシリコンオプティクスの「HQV」、スケーラーにアンカーベイテクノロジー(ABT)の「DVDOビデオスケーラー」という最強の組み合わせによる映像は、処理エラーがほとんど無い究極のDVD画質でした。
映像DACは216MHz/24bitで、HDMIのスケーラーは後にバージョンアップにより1080pまでアップスケーリング可能になります。
余談ですが、1080p対応のDVD-A1XVAは、私の愛機として今も現役で活躍しています。
やや先行して発売していた、こちらもDENONの一体型AVアンプ最強のAVC-A1XVとは、HDMI(Ver.1.1)で接続することにより、まだDOLBY DIGITALやDTSなどに限定はありますが、マルチチャンネル音声のHDMIデジタル伝送が可能になりました。
これ、画像が縦に伸びているわけではなく、本当にこれだけの高さがあるのです
この巨体に、5チャンネルバイアンプ駆動も可能な、10チャンネルパワーアンプを搭載しています。
見た目に負けず、音の方も豪快の一言に尽きます
2004年後半も、プロジェクターの発売が続きます。
もはや液晶プロジェクターでは御三家と言えるEPSON、SANYO、Panasonicから、それぞれ最新モデルが発売されます。
EPSONのEMP-TW200Hは、D4パネルをさらに熟成させ、最大輝度1500ルーメン、アイリス非搭載ながらコントラスト比1000:1を実現しました。
HDMIやDVI端子非搭載というマイナスはありますが、画質が抜きん出ていましたので、カタログスペックではなく実際の画質を重視するユーザーに人気がありました。
SANYOも、前モデルから大幅に中身を進化させたLP-Z3を発売します。
LP-Z2ではやや簡易的だった手動アイリスが、本格的な63段階の電動アイリスに変わり、液晶プロジェクターでありながらコントラスト比最大2000:1を実現しました。
Panasonicは、筐体から新規開発されたTH-AE700にフルモデルチェンジしました。
Panasonicもこのモデルからついにレンズシフトを搭載し、業界最大の2倍ズームと併せて、設置性が大幅に向上しました。
さらに、今では多くのプロジェクターに採用されているシーン連動型絞り機構「ダイナミックアイリス(オートアイリス)」を、世界で始めて搭載しました。
初搭載とはいえ、絞り制御のみならず、ランプの光量とガンマデータも同時に1/60秒単位で制御するという高度な機能です。
この後、各社が同様の機能を搭載するようになり現在に至ります。
LP-Z3とTH-AE700は、DVIに変わりHDMI端子も搭載しました。
SONYからも高級液晶プロジェクターVPL-HS50が発売されます。
液晶パネルが、従来の1366×768ドットではなく、ハイビジョン(1080i)やDVD(480p)と相性が良い1280×720ドットに変更になりました。
また、時代に合わせてSONY機では初めて上下左右レンズシフトも搭載されました。
さらに、TH-AE700同様、「アドバンストアイリス (オートアイリス)」を搭載します。
アイリスの機構が違う為TH-AE700のような高速動作はしませんが、6000:1(最大)という驚異的なコントラスト比を実現しました。
下手なDLPを凌駕してしまうような黒を再現し、液晶プロジェクターの可能性を広げた1台です。
そのDLPも新製品が続々登場します。
MITSUBISHIから、定番となりつつある1024×576パネル搭載の、LVP-HC900Jが発売され人気を博します。
通好みの映像で人気だった前モデルLVP-D1208でしたが、周りが高輝度化してくると若干暗さを感じるようになってきました。
LVP-HC900Jでは、カラーホイールの変更や250Wランプなどにより、明るさ1400ルーメンを実現し、固定アイリス使用で4000:1(アイリス絞り最小)のコントラスト比をたたき出します。
SHARPは高級DLPから路線を変え、720pのHD2+パネルを搭載しながら低価格を実現したXV-Z2000を発売し、VPL-HS50やHT1100JKなどのミドルクラスゾーンに参入しました。
レンズシフト非搭載で、筐体や回路を他モデルと共用することでコストダウンを実現した為、高級機と同等の画質とはいかないまでも、液晶プロジェクターとは明らかに違う黒を再現し、ユーザーの選択肢を広げてくれました。
「HD2+」の時はやや出遅れたYAMAHAですが、最新の「HD2++ DarkChip3」パネルを搭載した最新機DPX-1200を早くも年末に発売しました。
DMD素子が、HD2+よりもミラーの間隔を狭くし、ミラーの支柱部の黒点(Via)をさらに小さくして光の利用率を上げたDarkChip3になり、コントラスト比も5000:1にアップしました。
それに伴い、ガンマカーブ等の見直しを行って実現した映像は、固定画素プロジェクターの王者と呼ぶべき当時最高峰の映像でした。
高級モデルでありながら、適度なビビッドさを残しているところが個人的には気に入ってました。
楽屋話ですが、今まで画素の真ん中に映るViaの黒点を頼りにフォーカスを合わせていた人は、フォーカスが合わせづらくなるという副作用も生まれました。
2004年は、バルコがホームシアター事業からの撤退を発表し、事実上3管式プロジェクターの新品を購入することが出来なくなり、アナログからデジタルへの移行を強く感じました。
ただ、完全に3管式プロジェクターを購入するルートが無くなった訳ではなく、まだまだ愛用しているユーザーの方もいらっしゃったので、3管式プロジェクターの灯が消えたわけではありません。
この頃は、DVDOのビデオプロセッサーiScan HD+とMITSUBISHIの3管式プロジェクターLVP-2001を組み合わせて、480p/72Hzによるフレーム等倍のDVD再生などが、3管ユーザーの中では話題でした。
【第2章】でも書きましたが、通常DVDなどをテレビやプロジェクターで再生する場合は、日本のテレビ放送規格に合わせて1秒間60コマで映します。
その為、24コマの映画ソフトは、2-3プルダウンという2コマ⇒3コマ⇒2コマ⇒3コマと繰り返して60コマを作り出す方式が取られます。
その弊害として、やや動きにガタツキが生まれ、滑らかさに欠ける映像になります。
480p/72Hzというのは、縦解像度480のプログレッシブ映像を、1秒間に72コマで映します。
72というのは24の3倍ですので、LVP-2001等の72Hz入力可能なプロジェクターでは、フレーム等倍映像が可能になるという仕組みです。
この効果は、どのようなシーンでも実感できるようなものではありませんが、人物のゆったりとした仕草や、ゆっくりしたカメラのパンなどで、ドキッとするような滑らかで官能的な動きを見せます。
この効果は、今でも実感することが出来ます。
それは、Blu-rayの24pダイレクト出力です。
今のプロジェクターやテレビは24p入力対応になっておりますので、それを96コマや120コマの等倍で映すことが可能です。
また、PanasonicのDMR-BZT9300やOPPOのBDP-105などでは、DVDの24p変換出力が可能ですので、お持ちの方は是非試してみてください。
フレーム補完や余計な映像処理はOFFにして見てください。
普段気付かなかったシーンに官能性を感じるかもしれません。
iScan HD+で見たフレーム等倍の映像は、目に焼き付くほど鮮烈に残っています。
質の良いフレーム補完を行うと、このフレーム等倍に近い官能性が生まれることがあります。
MITSUBISHIのLVP-HC8000DやLVP-HC9000D等に搭載されているフレームレートコンバーターは優秀ですので、お持ちの方はデフォルトよりも一つくらい効きを弱くして映画を見ていただくと、「これか!?」という発見があるかもしれません。
と最後はマニアックな話になってしまいましたが、【第4章】はここまでになります。
【第5章】で書かれる2005年は、いよいよフルHDの幕が開けます。
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11月4日(月・祝) 話題の4Kプロジェクター 『SONY VPL-VW500ES視聴会!!』
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