【大阪梅田店】『デジタル時代のホームシアター近代史:第3章 ブルーレイの登場と映像デジタル伝送の始まり』
「ダンダリン 労働基準監督官」が意外と好きな渡部です。
【第2章】から引き続き【第3章】は2003年を中心に書きたいと思います。
この辺りから、現在のAV機器との関わりが深くなっていきますので、興味深い製品も増えてくると思います。
まずはプレーヤー系からいきますと、2002年末発売のプロジェクターに搭載された、HDCP対応のDVI端子で接続できる国内初のDVDプレーヤー、marantz DV8400が発売されます。
現在のHDMIの前身になる、映像のデジタル伝送が始まります。
今までのDVDプレーヤーは、如何に正確なアナログ変換が出来るかを競っていましたが、これで変換エラーやロスの無いDVD再生が可能になりました。
さらにDENONのDVD-A11が登場、DVI出力解像度を1280×720pや1920×1080iに変換するスケーラーが付き、さらなる高画質への可能性を見せてくれました。(初期はバージョンアップ対応)。
映像DACも216MHz/12bitまで進化しました。
まだ3管式プロジェクターやブラウン管テレビなどの、DVI入力ができない機器をお持ちの方もいらっしゃったので、映像DACの性能もまだまだ重要です。
他に216MHz/12bitを搭載したモデルは、marantzのDV-12S2があり、DVDレコーダーでもPioneerのDVR-710H、TOSHIBAのRD-X4など徐々に増えていきます。
年末には、HDMI端子を初搭載したPioneerのDV-S969AViが発売され、いよいよ映像のデジタル伝送がホームシアターでは主流になりそうな予感がしました。
まだこの時のHDMIはVersion1.0で、映像のみの伝送でしたが、この後AV機器接続の主流になるHDMIの記念すべきスタートです。
映像DACも業界最高スペックの216MHz/14bitを誇ります。
ディスクプレーヤーで最先端を走るPioneerの、先進性を感じるモデルです
ブルーレイプレーヤーでも最先端を走って欲しい、と願うのは私だけではないと思います。
216MHz/14bit映像DAC搭載機では、TEACのハイエンドブランドESOTERICのUX-1という高級機もありました。
今では望むべくも無い超弩級ユニバーサルプレーヤーで、待ちに待ったDVD対応の新VRDSメカが搭載され、もちろんDVI(HDCP対応)出力もあります。
そしてこの年いよいよ、世界初のブルーレイレコーダーSONY BDZ-S77が発売されます。
ブルーレイはDVDよりも高精度な読み取りが必要な為、外部の衝撃や振動を遮断する必要があり、BDZ-S77は、ドライブを吊り下げ浮いた状態にする、フローティングメカニズムという独特な構造でした。
フロントパネルも電動で可動するなど、1号機ということもあり今では考えられないような豪華な作りでした。
ただ、発売を急いだ為か、対応ディスクもBD-RE 23GBのみ、地上波デジタルチューナー非搭載、HDMI出力非搭載など、機能的には若干不満の残る仕様でした。
また、いまでは考えられませんが、このときのブルーレイディスクはケース付きで、1枚¥2,300くらいしました。
それでも、ハイビジョン映像をディスクに保存できるというのは、オーディオ&ビジュアルファンにとって至高の喜びだったと思います。
AVアンプでは、 ONKYOがカスタムインストレーションブランド“Integra”の名を冠して発売したDTC-7(コントロールセンター)、DTA-7(7chデジタルパワーアンプ)と、SONYのTA-DA9000ESというデジタル(Class D)アンプが注目を集めました。
DTA-7は、オンキョー独自のパルス幅変調技術“VL digital”により、デジタルアンプの弱点であったパルス性ノイズを排除し、デジタル臭さが無く情報量の多い音を聴かせます。
TA-DA9000ESは、スピーカーの直前まで完全デジタル処理をする“S-Master PRO” により、クリアー且つパワー感のある圧倒的な音でした。
現在国産AVアンプで唯一デジタル(Class D)アンプを採用しているのは、パイオニアのSC-LX87をはじめとする“ダイレクトエナジーHDアンプ”搭載機のみですが、開発の難しさはあるにせよ、AVアンプとデジタルアンプというパッケージングは名機が多いです。
そのほか、YAMAHAのアナログAVアンプの集大成という意味でのZと、9chパワーアンプ搭載で、Z9と名づけられ、CX-A5000・MX-A5000の開発でも音質クオリティーの基準となったDSP-Z9も記憶に残る1台です。
ヤマハ版自動音場補正 YPAO(Yamaha Parametric Room Acoustic Optimizer)や、ヤマハ初のTHX Ultra2認定も話題になりました。
自動音場補正の本家PioneerのVSA-AX10iの進化版VSA-AX10Aiも、自動音場補正MCACCが、それまでの周波数と音圧レベルに時間軸を加えた3次元補正可能なAdvanced MCACCになり、より緻密で正確な補正が可能になりました。
Victor(現JVC Kenwood)のAX-V8000も、K2テクノロジーを使った「CCコンバーター」や、当時まだ搭載の少なかったアナログダウンミックス機能「プレシジョン・ダウンミックス・コンバーター」などのマニア心をくすぐる機能で、影のベストセラー機でした。
ここで、ようやく主役のプロジェクターの話に入ります。
前半注目の1台は、MITSUBISHIの初のホームシアター用DLPプロジェクターLVP-D1208です。
DLPパネルの解像度は1024×576ですが、これは1024×768(XGA)の16:9部分のみを使っている為です。
この576という数値は、ヨーロッパなどで使われている映像規格PALの縦解像度と同じですので、PALのプログレッシブを1:1で表示でき、より高画質にDVDを鑑賞する為にPAL盤を購入している方には嬉しいポイントでした。
この解像度が、しばらくホームシアター用ミドルクラスDLPの標準仕様になります。
映像の方は、明るさやクッキリ感を演出するような白ピークや輪郭強調は皆無で、丁寧な階調表現や3管式のLVP-2001をリファレンスにした絵作りは、最新機LVP-HC8000Dにも通じる職人的なこだわりを感じさせます。
SONYからは、民生機初のフルHDパネルを搭載したQUALIA(クオリア) Q004-R1が発売されます。
パネルは反射型液晶の新デバイス“SXRD”で、最新モデルVPL-VW500ESにも使われています。
QUALIA(クオリア)自体はソニー直販のみという特殊な商品でした。
4K以前は、よく「フルHD」という言葉が使われました。
これは、縦解像度650以上をHDパネルと定義されている為、1280×720ドットのパネルなどと、縦解像度1080をダウンスケーリングすることなく表示できると1920×1080ドットのパネルを、区別する為に生まれた呼称です。
今では普通になってしまいましたが、1920×1080をダウンスケーリングすることなくドット・バイ・ドットで映した美しさは、衝撃的でした。
しかし、フルHDパネルが本領を発揮する、1080/24P収録のBlu-rayやHD-DVDのソフトが登場するのは、もう少し先です。
Q004-R1には、高価ながら自然光に近い特性のキセノンランプが使われ、やや青白い印象の高圧水銀ランプとは異なる、自然で暖かみのある映像が印象的でした。
SONYは液晶プロジェクターでも、VWシリーズに変わり主力になった感のあるシネザシリーズの最新モデル、VPL-HS20、VPL-HS3を発売し勢いを感じさせます。
サイドショットも、縦方向を自動補正できる「サイドショット2」に進化しましたが、SANYOなどのレンズシフトの前では、やや分が悪い感じでした。
自社の液晶パネルを使うSONY以外のメーカーは、エプソンの第4世代ドリームパネル「D4」の1280×720画素を搭載したモデルを発売します。
SANYOのLP-Z2は、上下左右レンズシフトをさらに上下±1画面、左右±1/2画面に拡大し、設置のしやすさと自由度はまさに革命的でした。
このモデルがプロジェクター普及に果たした役割は本当に大きかったと思います。
Panasonicのホームシアタープロジェクターも第三世代になり、1280×720画素のパネルを搭載したTH-AE500を発売します。
画素間の格子を目立たなくする「スムーススクリーン」や、ハリウッドのカラーリストと共同で画作りした「ハリウッド画質」が売りでした。
本家EPSONも、SANYOにつづき上下左右レンズシフトを搭載した、EMP-TW200を発売します。
液晶パネル開発メーカーならではの、最新パネルを使って真っ先に開発が出来るアドバンテージを生かした画作りは、他のメーカーを1歩リードしていました。
DVI入力非搭載などライバル機の後塵を拝する仕様ながら、伝統的な肌色の美しさなど、純粋に画質で選ぶ方が多いモデルでした。
さらにEPSONは、上級機としてEMP-TW500を発売し、液晶プロジェクターの可能性を見せてくれました。
高級機としてDLPが君臨する中、液晶プロジェクターで高級機を出してきたEPSONには、自信とプライドを感じました。
液晶パネルを知り尽くしたEPSONが、当時持てるすべての技術を結集して完成させたELP-TW500は、DLPがやや苦手とする中間色や滑らかな階調の表現と、DLPに迫るような深い黒を実現し、液晶パネルのポテンシャルの高さを見せつけました。
HDMI入力を装備するなど、仕様の面でも先進的でした。
DLPプロジェクターも、ミラーの取り付け部の黒点を小さくし、光利用効率を向上させたDMD素子「HD2+」搭載モデルが次々に発売されます。
marantzのVP-12S3は、一見地味なモニター調の画質ながら、品位の高い画作りで評価が高かったモデルです。
付属の色温度センサーは、今のDLA-X75RやVPL-VW500ESのオートキャリブレーションの先駆けです。
SHARPのXV-Z11000は、当時最強のコントラスト比:5500対1を誇り、パッと見でもDLPの凄みを感じさせてくれました。
LVP-D1208に続き、MITSUBISHIから新型DLPプロジェクターLVP-D2010が発売され、高級DLPに新たなモデルが追加されました。
「HD2+」パネル搭載ながら、抑えた価格設定と、3管式を思わせる趣のある画作りで、大人気でした。
エントリーモデルからグレードアップを考えてる方には、まさにうってつけのモデルでした
2003年は、プレーヤーとプロジェクターにDVIやHDMI搭載機が揃い、高画質を求めるならデジタル伝送は当然という時代になってきました。
また、3管式プロジェクターやブラウン管テレビなどのアナログ機器が衰退し、固定画素のプロジェクターやディスプレイなど、デジタル機器の台頭を強く実感する年でもありました。
そして、12月1日に地上波デジタル放送が、東京、大阪、名古屋から開始され、デジタルとハイビジョンがさらに広まっていきます。
【第3章】はここまでです。
【第4章】は、この流れが加速していく2004年を描きます。
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