こんにちは、桜庭です。
GW初日の本日はUHDプレーヤーの比較視聴イベントがございました。
GWという事でちょっと長めのイベントレポートです
比較視聴して頂いた機種はパナソニックの4K対応レコーダーDMR-SUZ2060、同じくパナソニックで再生専用機のDP-UB9000、パイオニアの最上位機で再生専用機のUDP-LX800になります。
比較した3台は、それぞれ価格帯や付いている機能も違うので単純なクオリティ比較とは言えませんが、それぞれの特徴は以下の通りです。
SUZ2060は10万を切る価格帯でBS4Kなど放送の録画視聴もできて、Net配信系も可能で、BD/UHDソフトも再生でき、便利な1台という位置づけです。
UB9000は約20万ぐらいの価格帯で同じパナソニックでもレコーダーとは映像処理回路も進化し映像/音質面でレコーダーでは求められないところを追及したパナソニック最上位の再生専用機です。
LX800はOPPOも無くなり、現行では最上位機で価格帯も約30万位、SACD含めた現行のディスクが全て再生できるユニバーサルプレーヤーとなります。
UHDのソフトが再生できるプレーヤーも3万前後ぐらいからあり、レコーダーでもパナソニックやソニーなど再生可能な機種も増えてきましたが、そういった機種と再生専用機はどう違ってくるのでしょうか?
一般的には下の価格帯ですと映像や音質面でキレがなく、音がごちゃっとまとまって聴こえてしまうとか映像はフォーカス感やコントラスト感がいまいちという感じになりやすいです。
そういった点では、SUZ2060はメリハリ感はしっかり出しておりましたし、映像系が強いパナソニックらしくだいぶ頑張っているかと思いますが、やはりUB9000やLX800と比べてしまうと、ドンシャリ傾向の音質と鮮やか系の映像では質感がちょっと物足りなさを感じてしまいます。
ただ、BS4K放送も観れて、Net配信系も観れてと便利性ではある意味最強かもしれません
でも、こんなマニアックなイベントに興味がある方ですと、サラウンドのシステムやプロジェクターもそれなりにこだわったシステムをお持ちの方が多いので、映像を重視したい方や音質面を重視したい方などそれぞれ目的があってどのプレーヤーにしようか迷っているかと思います。
音質面で繊細なところを体感しやすいところで今回はいろいろなディーヴァを使いました。
BDソフトのコンテンツでは
クリスボッティのライブからキャサリン・マクフィー
昔から使っている「Legend of JAZZ」からジェーン・モンハイト
しっとりした女性の声の質感がちょっと足りなかったり、ハイ上がり気味になってしまったりとSUZ2060やUB9000ではLX800を聴いてしまうとやや粗さを感じてしまいます。
UHDソースでは
「グレイテストショーマン」から
この映画では、パナソニック系では高域がちょっと耳につく感じで、折角役者のイメージと声の出し方に完璧に合わせた歌い手の技術が半減してしまいます。
LX800ですとビタッとマッチして、オーディオ的な質でLX800はさすがです
ちょっとソースが異なる比較ですが、BS4K放送でアンナ・ネトレプコさんのコンサートがありましたのでSUZ2060で視聴して頂きました。
AVアンプのボリュームは-3dbまで上げても十分聴けるクオリティで4K放送は画質だけじゃなく音質も良くなってきている思います。
最近は放送系やNet配信系もコンテンツの供給も早く、それで十分という方も多いかもしれません。
そのあとにBDソフトで同じアンナ・ネトレプコさんの若い頃(14年ぐらい前)のオペラ「椿姫」を視聴して頂きました。
歌声やフルオーケストラの演奏など10年以上前のソフトでもやっぱりパッケージソフトの方が圧倒的に音質は上です。
良いシステムを持っていたらやっぱりパッケージソフトで、再生専用機がないと折角のシステムももったいないです
いろいろな女性ボーカル系を聴いて頂いて、繊細な表現力でプレーヤーのクオリティの違いはわかりやすいですが、中低域はどうなの?
という事で、UHDソフトで「ボヘミアンラプソディ」から
後半はUB9000とLX800の比較をメインに行いました。このシーンではUB9000もボンボンとドラムの低音は出てくるのですがややブーミー、LX800の締まった低音で音程のある低域にはかないません。
いろいろ聴いてみましたがUB9000の音質だったらパイオニアのLX800の下のLX500で十分同等かなという感じでしょうか。
画質に関しては、今回の視聴で使用したプロジェクターはJVCのDLA-V9Rになりますが、このプロジェクターだとSUZ2060でも相当綺麗に映ってしまうので、映像的な差というのは音ほど感じにくいかもしれませんが、UB9000はJVCのVシリーズと合わせて使った時に専用のモードを持っております。
雑誌やwebの紹介記事などでベタ褒めのそのモードについてもイベントでチラッとご案内しました。
使用したソフトはUHDの「ハドソン川の奇跡(Sully)」から ※イベントでは少しだけ先のシーンですが撮影してもカメラの性能上違いが見えないのでブログではこちらのシーンで。
まずはUB9000でトーンマッピングはOFFで、JVCも通常のHDRモードですとこのような感じになります。
中央の電光掲示板の女性のところの映像ですが、ピーク側の情報がやや飛び気味になっていて暗部側もややモヤっとした感じになります。
この状態からUB9000の設定トーンマッピングをONにして、JVCもUB9000用のガンマなど設定を変えたモードにすると
電光掲示板のところは本来は階調や色情報がある事もわかり、暗部側も少しクリアな感じになります。
なぜこういう事が必要なのかというと、HDRの信号はピークの明るさが1000nitや4000とか10000nitという情報で入っており、作品によってマチマチです。※BDまでの規格では100nit。
有機ELのような50万:1ぐらいあるようなディスプレイですと余計な事はしなくてもHDRのコントラストレンジや色情報はかなり描けますが、プロジェクターでは現行で一番コントラストのあるDLA-V9Rでさえ10万:1しかありません。
そこでJVCのVシリーズの開発と並行してパナソニックと協力し、今回の専用モードが出来上がったのですが、要はプロジェクターでは結局HDRの本来持っている情報量をうまく描くにはソフトの規格がバラバラで対処しきれないという事です。
そこで、UB9000ではソフトが何nitで収録されていようがプロジェクター用のモードにする事で500nitの情報にして出力してくれます。
どのプレーヤーも最初からそうすればいいのでは?と思ってしまうかもしれませんが、ソフトに記録されている1000とか4000nitとかのコントラストと色情報も合わせると、普通のプレーヤーの映像処理回路ではどこかの階調がつぶれたり間引かれたりしてしまいます。
UB9000ではその情報を32bitの処理エンジンで階調など情報を正確に処理して12bitで出力します。
12bitで出力するのは他のプレーヤーでもそうでしょ?と思うかもしれませんが、なぜUB9000が自社の製品ではなくJVCのプロジェクターを選んだのかというと、TVやプロジェクターなど12bitの信号を受け付けて12bitでパネルに書き込める製品がまだ無くほとんどの製品が10bitまたは8bitに落とされて書き込まれております。
JVCのVシリーズは唯一12bitで書き込める製品という事で今回の特殊なコラボが生まれたのかと思います。
細かい技術的な説明は雑誌やweb等にいくつか出ておりますのでそちらをご参照頂くとして、この専用のモードはどんなHDRの信号も500nitに集約して出してくれますよという事になります。
また、JVC側もHDR用で特殊なガンマカーブを使わずに済むので、恩恵として暗部の階調が綺麗に表現しやすくなるところもあります。
では、LX800はどうなの?という所で、同じシーンを
UB9000のデフォルト同様、中央の電光掲示板のところは飛び気味になっております。
で、UB9000の処理を考慮すると、要はピークを抑えて階調表現を重視しているという事なので、試しにLX800の映像設定でコントラストの数値を下げてみると
映像的には暗くなったのがわかると思いますが、電光掲示板の情報がここまで出てきます。
わかりやすくするために10段階の内、7つも下げてみた状態ですが、電光掲示板の情報がどれだけ重要かという事を考えると-2か3ぐらいでUB9000と同等ぐらいなので、それぐらいで十分かと思います。
LX800ユーザーはコントラスト感がしっかり欲しい人はデフォルトでいいと思いますが、階調感が欲しい場合はコントラストを少しだけ下げてみてもいいかもしれませんね。
撮影した画像だと映像自体のフォーカス感というのがわかりにくいですが、UB9000よりLX800の方が4Kらしいキレが感じやすいです。
UB9000は32bitで一度処理を行いますので、オーディオもそんな感じになりやすいですが元のソースよりも大幅に高いbitで処理を行うと柔らかめの音になりやすいのと同じなのかもしれませんね。
今回のイベントはちょっとマニアックな比較視聴でしたが、UHDやBS4KやNet配信系も1台で観れる便利なレコーダーも魅力ですし、レコーダーより更に画質/音質面でクオリティが上がりNet配信系対応プレーヤーでは最高機種のUB9000も魅力ですし、UHDからSACDなどユニバーサルプレーヤーとして現行最上位機種にふさわしいクオリティのLX800と、皆様の期待に沿える機種はどれになりそうでしたでしょうか?
個人的な見解も多いですが、参考にしてみて下さい