【秋葉原本店】4K UltraHDのHDRについて
こんにちは、桜庭です。
北米でまずは発売開始となりました4K/Blu-rayのUHDですが、4KでHDR(ハイダイナミックレンジ)という事で皆さんもどんなものなのか気になってくるところでしょう。
The Martian(邦題/オデッセイ※上映中)という作品から、JVC/X750RとEPSON/LS10000とSony/VW515の映像を交えて簡単にご紹介を。
まず、HDR信号に対してプロジェクターの処理の仕方を簡単に説明しますと
プロジェクターはテレビと異なり、バックライトのエリア駆動によるコントラスト制御はできません。※意味が分からない方はインターネットで「バックライトのエリア駆動」で検索すればどんなことかは少しわかると思います。
UHDに入っているHDR信号というのは色信号も関係はありますが、わかりやすいのは明るさに対する信号が今までと異なり白ピークの出方が格段に上がりコントラスト感も増します。
テレビでバックライトをエリア駆動している製品なら明るさを出すには部分的にそのエリアだけ明るくすればいいのですが、プロジェクターはそういう事はできませんのでHDR用にメーカーで調整したガンマ値でコントラストがあるような画作りをしている形になります。
色信号も今までと異なりますが、プロジェクターの性能が例えば5万階調同時に出せたのがHDRの信号が来たら10万階調同時出せるようになるというわけではありません。
あくまでも色域をいじって今まで出しにくかった色を出せるようにしてますが、その反面今までちゃんと出せていた帯域を少し間引いたりうまい事やっているだけです。
という事は、HDRの信号が入ったからといってプロジェクターの色再現性やコントラストなど性能が上がるわけではないので、今まで再現できなかった色が出せるとか今まで見えにくかった暗部階調やコントラストが上がるという訳ではありません。
まずはJVCのDLA-X750Rで4KのHDR信号を映した場合 ※HDR用のモードです
暗めのシーンでヘッドライトの照明が明るく出せるのがHDR処理になります。
ちなみに、UHDのソフトを再生する時にAVアンプやTV/プロジェクターがHDR対応でないとHDR信号は出してくれません。
そのためAVアンプでTVとプロジェクターに2出力されているお客様も多いと思いますが、プロジェクターは対応していてもTVは対応していないという場合はHDMI出力の切替でプロジェクター側に固定すれば出ます(デノン/AVRX7200WAでしかまだ試しておりませんが)。
対応機器は揃っているけどHDR信号が出てくれないという時は、そこら辺もご注意下さい。
話を戻しまして、明るめのシーンですと
陰になる部分から日差しが当たって明るい部分の明暗の差がHDRならではです。
HDRモードは明るさ側を綺麗に出す画作りになってくるので、暗めのシーンで明るい情報が出ているより、全体的に明るいシーンの方がパワーのある映像で今までのシネマライクな映像とはまた一味違った感覚で見れると思います。
そういう意味では今までの映画っぽい画作りというよりは、よりリアルな映像という感覚になってきますので、最初の内は好き嫌いが出てくるかもしれません。
現状、プロジェクターでHDR対応の機種はJVCのDLA-X550R/750RとソニーのVPL-VW515のみです。
そこで、4Kには対応しているけどHDRにはまだ対応していないエプソンのLS10000で見るとどうなるのか?
プレーヤーからの出力はプロジェクターが非対応なのでHDR信号では出ずにノーマルの4K信号となります。
上記でも簡単に説明しましたが、HDR対応機器でその信号が来た時はHDR用のモードにするのですが、ガンマや色域などをHDR用にしているだけです。
という事は、LS10000でもHDRっぽくする事は容易じゃないか?
ちょっと控えめかもしれませんが、ガンマ値をこんな感じでいじってみました。
同じ暗めのシーンと明るめのシーンで
画像だけですとわかりにくいと思いますが、LS10000はDCIの色域もカバーしておりますし、パネルコントラストもJVCに次ぐクオリティはもっておりますので、HDR非対応だから4Kソフト本来の魅力が出し切れないというわけでもありません。
実際に観た感じではこれでも十分じゃないかという感じです。
ちなみに、この作品のBD版(2K)だとこんな感じです。
3機種いっぺんに
LS10000(DCIモード)
腕の付近の光りが強く当たっているあたりの表現が4K/HDRと比べてちょっと抑えられている感じですが、今までの映画の映像(シネマライク)に見慣れている人にはこっちの方がしっくりくるかもしれませんね。
ただ、BD(2K)ではフォーカスが合っているところも近くで見るとUHD(4K)と比べれば少し甘く見えてしまいます。
滑らかかつキレのある映像にわずかな違いかもしれませんがプロジェクターという大画面で見ている時にジワジワとこの情報量の差が効いてきます
プロジェクターにとってHDR対応というのは光源の方式上、やや無理なところもあるので重要かどうかというと現状では何とも言えないところですが、やっぱり4K信号が観れるかどうかというのは近いうちに一気にコンテンツが普及すると思われるので重要でしょうね