ビクターの3Dプロジェクター「DLA-X7」「DLA-X3」は凄かった!!
一部でフレーム補完に世界一うるさいと噂のある渡部です。
11月13日に行いました、ビクターの「DLA-X7/DLA-X3先行視聴会」を、簡単に紹介したいと思います。
司会・進行はビクターのプロジェクター開発部門の小林さんです(2部構成の司会ごくろうさまでした)。
早速、今回盛り沢山に搭載された新しい機能を中心に、紹介させていただきます。
DLA-X3から視聴を始めます。
映像モードに新しく搭載された「フィルムモード」を、ブルーレイ「007 慰めの報酬」で確認します。
陰影のしっかり付いた立体感のある映像は、個人的にビクタープロジェクターの美点だと思っているので、この「フィルムモード」の画作りは大歓迎です。このモードは、DLA-HD550に搭載されたS字ガンマを、一つの映像モードとして発展させた物と思っていいと思います。DLA-HD550でやや気になった緑が強い映像が、しっかり改善されているのは流石です。
「アニメーションモード」も今回作り直されています。視聴には「コラライン」を使いました。
1300lmに明るさが上がった為、全体の鮮度感が上がり、階調や色設計もより緻密になった印象です。DLA-X7では、CGやセルアニメに合わせたさらに細かなカラープロファイルが選択できます。このモードではフレーム補完がデフォルトで入りますが、処理エラーが減り、やっとフィルムにも使えるレベルになりました。
そのフレーム補完も含めたクリアー・モーション・ドライブ(倍速駆動)も凄い進化をしています。
「Mode1」と「Mode2」は、今回新たに搭載された黒挿入です。液晶テレビ等で使われてきた技術ですが、動画ボケが無くなり、スクロールする文字も、ブラウン管のようにビタッとブレが無くなります。弊害として輝度が落ちるとのことですが、ほとんど気になりません。逆にフレーム補完のようなエラーが無いので、ビデオ系には必須と言ってもいいでしょう。24コマに使うとフリッカーが出ますので、ビデオ用の倍速モードです。
「Mode3」「Mode4」は従来のフレーム補完ですが、先ほども言いましたが精度が上がっており、従来苦手だった24コマでもエラーが減っています。特に「Mode3(弱)」は、違和感も少なくなり、かなり完成度が高いです。ちなみに今回から、デジタル放送等の2-3プルダウンした60コマの映画にも働くようになりました。一番下の「Film Motion」は、前モデルのフィルムモードにあたる、逆2-3による24p変換です。
「ステージモード」も一から作り直されています。フィルム撮りの中島美嘉さんのライブ映像で確認します。
ここでもピーク感が上がり、フレーム補完との相乗効果で、いい意味でのビデオ的な生っぽさが出てきます。
ここからDLA-X7に変えての視聴に移ります。
DLA-X7の「フィルムモード」は、さらにマニアックになります。DLA-HD950では、コダックのフィルムの特性を解析したガンマモードを持っていましたが、今回からコダックをシュミレートしたカラープロファイル「フィルム1」と、フジフィルムをシュミレートした「フィルム2」が設定されました。
まずは「フィルム1」の視聴を、実際コダックフィルムで撮影された「ブラックレイン」で行います。
写真では潰れてしまってますが、実際は陰影により凄みのある松田優作の表情が映し出されていました。この映画は、日本人俳優が邦画とは違う雰囲気で映っている印象がありますが、コダックフィルムの特性によるところが大きいと思います。「フィルム1」用のガンマが2種類用意され、正確にコダックフィルムを解析した「フィルム1」で、黒潰れや白飛びが気になるようなら「フィルム3」がお奨めだそうです。
フジフィルムをシュミレートした「フィルム2」は、実際フジフィルムで撮影された「きみに読む物語」で視聴します。
コダックと違う、陰影の薄い階調重視の画は、平坦になりやすいですが、微妙なグラデーションや、肌色の描き分けが出来ているので、立体感のあるスキントーンが再現できていました。こちらもガンマが2種類あり、「フィルム2」がフジフィルムを解析したモードで、もう少し陰影を付けたいときに使うガンマが「フィルム4」だそうです。
この2モードは、イマジカで実際にそれぞれのフィルムにカラーチャートを焼いてもらい、解析したという本格的な物です。
DLA-X7では、従来のカラーマネージメントに加え、シネマフィルターを2種類使い分けることで、特にシアン・グリーンの色域を広げAdobe RGBを100%カバーしているそうです(切り替わるときのカチャっという音にはびっくりしますが)。
「フィルムモード」が、解析による原画忠実再生モードだとすると、「シネマモード」は、ビクター開発陣が表現したかった映像だそうです。
「ムーランルージュ」を見ましたが、見通しの良い階調表現は、明らかに「フィルムモード」と異なり、発色の良い原色再現は、今風な画作りといえるかもしれません。
色温度に新しく追加されたXenon(キセノン)は3種類あり、「Xenon1」がフィルム上映の映画館、「Xenon2」がデジタル上映の映画館、「Xenon3」がビクターの業務用プロジェクターのそれぞれのキセノンランプをシュミレートしているそうです。この色合いが、さらに映画っぽさを醸し出して、温かみがあり良い感じです。
いよいよ3Dのデモになります。
「THIS IS IT」の3Dバージョン収録のスリラーのオープニング映像を見ましたが、第一印象は、「3Dなのに明るい!!」でした。これは、デジタル駆動のD-ILAのメリットで、ライン書き込みのアナログ駆動と違い、一括に映像を書き込む為、240Hz駆動の必要が無く、120Hz駆動で十分クロストーク(左右の映像の混じり)が抑えられる為だそうです。
「モンスターVSエイリアン」では明るさ重視の「ガンマB」で見ましたが、白のピーク感が感じられる3D映像は、ビクターの独壇場と言えます。
色の正確性を重視した「ガンマA」では、明るさが若干落ちますが、「タイタンの戦い」を圧倒的な映像美で再現します。
スクリーン補正も、より細かく設定できるようになりました(DLA-X3は従来どおりA,B,Cからの選択)。
オプションの3Dグラスは、軽くて装着感も良く、スイッチが無く、3D再生が始まると自動でロックします。
3Dシンクロエミッターも守備範囲が広く、端の方も確実にロックしてくれました。
当日の物は試作機の為、ややHDMIの同期が不安定でしたが、出荷版では改善されていると思います。
DLA-X7の背面パネルもついでに
もはや、Sやコンポジは無くなってしまいました。
じつは、最初に試聴機をお借りしたときに、「シネマモード」の映像を見て、「S字ガンマはどうしちゃったの!」なんて偉そうな事を言ってしまいましたが、「フィルムモード」の映像を見て、ギャフンと言わされてしまいました。
いやー、「またまたビクターの時代が来てしまうのか~」と思ってしまうような視聴会でした。
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